2020年5月6日に公開された映画『死刑にいたる病』
今作は、24件の殺人を犯した罪で死刑が確定した男と、それに翻弄される周囲の人間模様を描いた作品となっています。
公開早々「サイコパスすぎる」「グロすぎる」という感想が飛び交う中、加納灯里の最後のラストシーンが謎だと話題になっています。
そこで今回は、ラストシーンについての考察を様々な角度から考察をしていきます。
目次
『死刑にいたる病』加納灯里のラストシーン

主人公である筧井雅也(かけいまさや)と、中学の同級生だった加納灯里(かのうあかり)。
中学時代は大人しく地味だった彼女は、大学で主人公とすれ違います。
「中学時代、話しかけてくれたのは筧井君だけだった。」
と声をかけ、親密な中へと物語を進めるキーパーソン的人物ですよね。
しかし、そんな加納灯里のラストシーンが話題を呼んでいます。
「死刑にいたる病」、ラストがめちゃくちゃゾ〜〜〜ッ!!とする。(コワ……ヒェッ……)と鳥肌立った
— 獺祭ぽむ (@pommedeterrea) May 8, 2022
加納灯里の「爪剥がしたくなる?」という発言
大学校内ですれ違った事をきっかけに、主人公と恋人同士になった加納灯里。
物語が進むにつれ、男女の関係になった時、ベッドの上で「綺麗な爪」だと褒められます。
それに対して「剥がしたくなる?」と返答を返します。
まさかそんな事を言われると思っていない主人公は、突き飛ばすように距離を開け焦り始めます。
何故この発言をしたのかという疑問が多く見受けられますが、この発言の意味は、以下の通りの考察ができます。
①加納灯里は榛村大和に洗脳されていた
ただ爪が綺麗だと褒めただけで、爪を剥がしたくなる?と問われた主人公は、驚いてベッドから転がり落ちます。
すると彼女のバッグから、榛村大和からの手紙と、被害者たちの資料がバサバサと出てくるのでした。
自分しか知らない情報を、ただの同級生であり恋人が持っていたら恐怖を覚えますよね。
驚き固まる主人公に「好きな人の一部を持っていたい気持ち、わかる」と発言します。
「筧井君ならわかってくれるってあの人が言ってた」という言葉からも、完全に榛村大和の言いなりとなっている事がわかります。
榛村大和は獄中から、筧井雅也だけではなく、加納灯里も自分の思うままに操作をしていた。
②加納灯里は榛村大和の標的だった?
榛村大和がターゲットにしていた被害者たちには、共通点がありました。
制服を着崩す事なく、真面目な子。
筧井雅也も加納灯里も、真面目な子という面では当てはまっていますが、榛村大和と出会った時はまだ中学生でした。
劇中、「俺の事も殺すつもりだったのか?」という主人公の問いに「若すぎたんだよ」と榛村大和は答えています。
この事から、榛村大和は筧井雅也が成長したら殺そうと標的にしていたが、地元が一緒の同級生である加納灯里の事も、知っていたのではないかという推測ができます。
しかし、若すぎたから殺さなかった。
加納灯里本人も「昔は地味だった」という発言をしている事から、大人しく真面目な彼女の事も、一応標的の範囲内にしていたのではないかと考えられます。
③加納灯里は榛村大和の道具だった?
自分の好みの年齢に主人公が達した時、恐らく榛村大和は主人公を連れ去っていたのではないでしょうか。
しかし、連続殺人が明るみになり警察に連行されてしまった榛村は、獄中から筧井雅也を追い込もうとした。
もしくは、ただもてあそぼうとしたのではないでしょうか。
そんな時に目をつけたのが、同級生の加納灯里と考えられます。
榛村大和は、筧井雅也を翻弄する道具に加納灯里を使い、獄中から自分が殺す事が出来なかった心残りを果たしていたと推測できます。
④加納灯里は榛村大和に騙された?
考察の中にはこんな意見もありました。
加納灯里は「筧井雅也は俺の息子だ」と言われたのでは?
この考えはとても興味深いものがありました。
なぜならば、榛村大和の発言の1つがここで通ずるからです。
「死刑になった人間の子供と聞いて、特別感を抱いたか?」
自分は死刑囚の子供なのかもしれないと悩み苦しんだ筧井雅也に、少しでも自分は特別な人間だと思ったのではないか?と榛村が問います。
現に主人公は、自分は連続殺人犯の子供なのかもしれないと知ってから、一度肩がぶつかった通行人を傘で何度も殴打し、ネクタイで首を締め殺人未遂を犯しています。
しかし、主人公は一瞬でも抱いた特別感を捨て去り、殺すことはしませんでした。
この事から加納灯里は、“特別な人間である榛村大和の息子、筧井雅也の恋人”という事に対して特別感を抱いたのではないかと考えられます。
仮に、俺の息子だと言われ騙されたのであれば、大人しく地味だった自分が特別な人間になれたという歪んだ自信が目覚めたのではないかと考えられます。

まとめ
今回は、映画『死刑にいたる病』に登場する加納灯里のラストシーンの考察をしました。
今回考察した事から見えてきた事は以下の通りとなります。
①榛村大和と加納灯里は繋がりがあった。
②榛村大和は殺す事ができなかった筧井雅也に心残りがあった。
③榛村大和は加納灯里を使って筧井雅也を追い込もうとした。
上記のことから、加納灯里はマインドコントロールをされていたのではないかと推測します。
獄中から、自分の手足となる事を目論んだ対象にされたのであれば、彼女も被害者の1人なのかもしれません。